ヨシ五郎の泉

分厚い人間になるためのエッセンスが湧き出してくるブログです。

話のネタになるギリシャ神話①(エコーとナルキッソス)

 

みなさんギリシャ神話って読んだことありますか?

実は世の中にはギリシャ神話の登場人物が語源になっている言葉で溢れています。

先人たちは神話を教訓に、より良い人生を歩んで行きたいと願い言葉にしたのです。

 

ギリシャ神話は本当に面白い!

今日はその中から「エコーとナルキッソス」の話をご紹介します。

 

 

 

 

1、呪いをかけられてしまったエコー

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全能の神「ゼウス」は、大の女好き。妻がいるにもかかわらず色んな女に手を出す男でした。

そして、ゼウスの妻「ヘラ」はめちゃくちゃ恐ろしい人で、浮気された怒りをゼウスではなく浮気をした女に向け、死よりもひどい呪いをかける人でした。

 

ゼウスは言ってしまえば、神の中でも一番偉い人。言い寄られた女は受け入れるしかありません。

しかし、受け入れるとヘラの逆鱗に触れ、恐ろしい呪いをかけられてしまうという、なんとも理不尽な状況に陥ってしまうのです。

 

現代で言うとセクハラとパワハラのダブルコンボ。

言い寄られた女は拒否権なくゼウスにヤリ捨てされ、その後はヘラから呪いをかけられてしまうのですからたまったものではないですよね(笑)

 

そんな時に登場するのが、おしゃべり好きで心優しきニンフ(妖精)の『エコー』です。

エコーは狩の女神アルテミスの美しいニンフのひとり。優しい彼女はいつも仲間のニンフがゼウスに口説かれた挙げ句、妻のヘラに悲惨な嫌がらせをされることを不憫に思っていました。

 

そしてある時、仲間のニンフがゼウスと浮気している現場を見つからないようにするために、得意のおしゃべりでヘラを足止め。ゼウスの愛人にされてしまったニンフを逃がしてあげるのです。

 

しかし、後になってそのことに気付いたヘラはエコーに対して大激怒。

 

「あなたはおしゃべりが過ぎるようね!!怒」

 

と、エコーに『相手の話した言葉の語尾を繰り返すことしかできない』という呪いをかけてしまいます。

 

相手の言葉をオウム返しのように繰り返すことしかできなくなったエコーは、まともなコミュニケーションを取ることができなくなり、次第に周りから気持ち悪がられ仲間外れにされてしまいます。

 

おしゃべりが大好きだったエコーにとって、この呪いはとても辛いものだったでしょう。。

 

仲間から相手にされなくなり、悲しみに暮れたエコーは仲間のニンフから離れ、1人ひっそりと暮らすようになります。

 

 

 

2、エコーの儚い初恋

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そんなエコーですが、ある時『ナルキッソス』という青年に恋をします。

河川の神ケーピソスの息子として生まれたナルキッソスは誰もがあこがれる美少年。
多くの女性やニンフは彼に一目惚れをしますが、たまたま狩りをして、泉で休んでいた彼を見かけたエコーも例外なく恋に落ちたのです。

 

それ以降、木陰からひっそりとナルキッソスの姿を見ていたエコーですが、あるとき森で迷い、エコーの気配に気付いたナルキッソスが声をかけます。

 

「誰かいるのかい?姿を見せておくれ」

 

ヘラに呪いをかけられて以降、他人との関わりを避けていたエコーですが、愛しきナルキッソスと話したい一心で勇気を出して木陰から飛び出しました。

 

 

「きみは誰だい?」

「きみは誰だい?」

「なぜ、真似をする?」

「なぜ、真似をする?」

「真似をするな!」

「真似をするな!」

 

勇気を出したエコーですが、ヘラの呪いによってナルキッソスの問いかけを繰り返すことしかできません。。

どうしても自分の想いをナルキッソスに伝えたいエコーですが、その気持ちは空回り。

自分の言葉をオウム返ししてくるエコーを次第に気味悪がり、腹を立てたナルキッソス

 

「だまれ!」

「だまれ!」

「消えてしまえ!」
「消えてしまえ!」

 

こう言い残すと、エコーをにらみつけてどこかへ行ってしまったのです。

ナルキッソスに嫌われてショックを受けたエコーは、泣きながら森の奥深くに隠れたのでした。

 

呪いのせいでナルキッソスに最後に言われた「消えてしまえ!」という言葉を繰り返すエコー。

言葉には強い力があります。

この言葉を繰り返すうちに、エコーは悲しみのあまり体がどんどんやせていき、ついには本当に体も消え、声だけの存在になってしまいました。

 

山などで「やっほー」と言うと「やっほー」と返ってくるのは、今でも山のどこかに声だけの存在になったエコーが潜んでいるからだと言われています。

 

エコー(こだま)という言葉の語源にもなっています。

 

 

3、孤独なナルキッソス

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さて、その後のナルキッソスについてのお話です。

ナルキッソスはとにかく絶世の美少年で、彼を見た女性はみんな一目惚れをしてしまうくらいでした。また、ナルキッソス自身はまだ少年と青年の中間ほどの年齢で、その精神の未熟さゆえに、『女性からの誘いを傷つけずに断る』というスキルを持っていません。

結果、女性からの求愛の全てをエコーと同じように無下に断っていました。

愛情はいつしか恨みや憎しみに変わります。

 

ある日、ナルキッソスに仕返しを考えたニンフ達は神に祈りを捧げます。

 

「どうか神様、ナルキッソスにも、
身を焦がすかなわぬ恋をさせてください」

 

復讐の女神ネメシスが、その祈りを聞き入れました。

 

ある日、喉が渇いたナルキッソスは通りかかった池の水を飲もうとして、はっとします。水に映っている自分の姿を、美しい妖精と思い込んだのです。

「何と素敵な妖精だ。妖精よ、池からあがっておくれ。ぼくの前に出てきておくれ」

当然のこと、水に映った自分は何も返事をしません。。


「外に出てきてもらえないのなら、せめて、ぼくがあなたをずっと見つめていよう」
自分の姿に恋をしたナルキッソスは、その池から離れられなくなりました。

触れようとすると水面が揺れ消えてしまう恋する人。。そして食べる事も寝る事も忘れてしまったナルキッソスは、ひどくやせおとろえてしまいました。

 

すっかりやせおとろえたナルキッソスは、美しい自分の姿が映っている池に手を伸ばしました。

「美しい妖精よ。今日こそは、ぼくのところに来ておくれ」

そしてそのままバランスを崩して、ナルキッソスは池の中に落ちてしまったのです。体の弱っていたナルキッソスは、池の底に沈んで二度と浮かんではきませんでした。

 

復讐の女神にお願いをした妖精たちはもちろん、ナルキッソスに恋する女性たちは池の底に沈んだナルキッソスを探しました。しかし、どんなに探してもナルキッソスは見つかりませんでした。


その代わり、黄色いおしべの白い花が、池のほとりに咲いていました。
その花は上品で、どこかさびしそうで、死んだナルキッソスにそっくりでした。
その時から妖精たちは、その花をナルキッソス(水仙)と名づけて大切にしたそうです。

 

自分に恋をして、ついには命まで失ってしまったナルキッソスですが男性の自己愛を示す『ナルシスト』という言葉の語源になっています。

 


ところで、ナルキッソスはこんな酷い目に合うような悪いことしたのでしょうか?
彼はただ、自分の容姿に惹きつけられて寄ってきた人たちの一方的な愛を受け入れることができず断ってきただけです。

 

しかし話の中に、彼をかばってくれるような友人の存在はありません。
ナルキッソスはいつでも孤独なのです。

 

なんか寂しいですね。。

 

 

4、さいごに

どうだったでしょうか? 

ナルキッソスとエコー」は、日常によくある教訓を与えてくれます。

 

イケメンの男性諸君!

どんな女性にとまでは言いませんが、女性には優しくしてあげてください。傷ついて、悲しみが怒りに変わってしまった女性の復讐は本当に恐ろしいものです。。


おしゃべりな女性諸君!

男性は、なんでもペラペラ喋ってしまうおしゃべりな女性を苦手に感じる場合もあります。「口は災いのもと」とも言いますが、発言には細心の注意を払ってくださいね。

 

最後にギリシャ神話の中の名言でお別れです。

 

幸福になろうとするならば、
節制と正義とが自己に備わるように行動しなければならない。
-ソクラテス-

 

 

それでは!

 

 

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